水止舞前半は、「道行(みちゆき)」と呼ばれる雨乞いの儀式。

嚴正寺より約150メートルほど離れた、大田区立大森東中学校の校門前から、藁で編んだ縄(七五三縄)を渦巻き状に巻きあげた雄雌二匹の龍神の中に大貝(法螺貝)を吹く者が1名ずつ入り、威勢良く水をかけられながら、練りの道あけをします。

その龍神に続き、青竹で地面を叩きつけながら、牡丹が描かれた扇をかざす警固、笛頭を先頭にしながら笛師連、花笠をかぶり「ささら」を鳴らす花籠が続きます。

列の最後には、舞台での主役となる、三匹の獅子が太鼓を鳴らしながら練り歩きます。

道行の列は、数メートル進むたびに立ち止まり、龍神へ容赦なく水がかけら、法螺貝の音が響き渡ります。

「暴れる龍を懲らしめる為に水を掛ける」と伝えられることもあるが、この場合は龍神を元気づけさせる水(雨)。水が掛けられる度に、響き渡る法螺貝の音も、怒っているのではなく、高らかに雄叫びを上げているものです。

道行は、龍神が先導することから、『雨乞い』の儀式のごく初期の形式である。と推測されています。

30分ほどかけて、道行の列は嚴正寺境内の舞台へ

舞台につくと龍神は体が解かれてしまう為、そうはなるものかと、力を振り絞り抵抗します。それを渾身の力で舞台へ上げ、いよいよ水止舞がスタートします。